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黛 潤一郎 CGのお仕事でサウジアラビアのリヤドに滞在中です。どうでもいい様な他愛も無い事を日々書き連ねているブログですが、どうぞ宜しくです。


by KuronekonoKujira

番外編:オマーンの旅 その1

早いものでサウジへ渡ってもう一年。中東各国をまわる事、今回で6カ国目となるオマーンの旅の記録です。

旅、初日。深夜の便でリヤドの空港からオマーンへ。オマーンエアーを使った直行便。約二時間の旅。飛行機が遅れる事約1時間弱。深夜2時にマスカットの空港へ到着。オマーン入国にはビザを購入する必要があるが、サウジアラビアの労働ビザ(イカーマ)を持っている事から、GCC(湾岸諸国の地域協力機構・湾岸協力会議)の住人として他の中東諸国民と同じ価格で入国できた。考えてみればイカーマが初めて役に立った瞬間だったと思う。入国管理官は非常にフレンドリーで感じがいい。笑顔で迎え入れてくれる。ふんぞり返って無愛想なサウジの管理官たちとは対照的だ。

入国してすぐに事前に手配してあったホテルからの迎えのタクシーに乗る。
何やら手違いがあったようで、タクシーの運ちゃんに「昨日もあんたらを迎えに来て、ずっと待ちぼうけだったんだよ。」と言ったような文句を言われるが、そんな事こっちは知らん。「どうせ、あんたかホテルが間違ったんでしょ」と、取り合わなかったが、そもそも相手の英語もメクチャクチャだったので、まともに通じないだろうと思ったのもその理由だ。

この晩は、取りあえず朝からのツアーに参加するため、寝るだけのために取った安宿に泊まる。しかし、到着するなりいきなりのトラブル。男二人、ツインの部屋で予約したのにも関わらず入ってみるとダブル。文句を言いにフロントへ。しかし部屋はないと言う。結局エクストラベッドを入れさせてその場は凌いだが、なんか損した気分。聞けば、先に到着していた女性陣も同様の目にあったらしい。まあ仕方ない。こういうのはよくある事だ。

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ミスターアブドゥラ44歳

翌朝、一泊二日の砂漠キャンプツアーに出発。朝8時半にガイドがホテルへ迎えにくる。車はトヨタのランドクルーザー。砂漠を走るのに最適なんだという。実際、非常に乗り心地がよくオンロードもオフロードもよく走る。この車を駆るガイドだが、なかなか気さくな親父で、ミスターアブドゥラ44歳。若かった頃はかなりの遊び人だったのでは無いだろうか、イカしたチョイ悪親父ってな風貌で、車が大好き。ややセクハラ気味だが、日本人女子をイジリ倒すのが楽しくて仕方ないらしい。道中、ずっと日本車の話をしていたが、愛車は三菱のランサーだそうだ。砂漠を走るのには、とにかくこのランクルが最高だと言う。彼に連れられ、ワヒバ砂漠へ向かうが、途中、よくわからない村へ立ち寄る。400年前の廃墟群なのだそうだ。だが、瓦礫の家々を見ても今一その面白さがわからない。こういうところもあるという事で、まあいいでしょう。

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よくわからない瓦礫の村

途中、やたらとヤギの群れを見かける。たまにラクダもいる。なんとものんびりとした、流れる時間の穏やかな国だと思った。途中のレストランで昼食を取る。中東料理、インド料理などがメニューに並んでいたが、スパゲティナポリタンを選択。いや、ただそういう気分だっただけだ。しかしなかなか美味かったので悪い選択ではなかったと思う。

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その後、砂漠の走行に備えてタイヤの空気圧を下げるため、自動車の整備屋に寄る。そこで溜まっていた子供達がとても可愛く、ガイドの親父が楽しそうだったのが非常に印象的だった。

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子供達

そして、ワヒバ砂漠へ。ナルホド、これは大型のランクルクラスでないと走るのは困難だろう。途中、ナメて入って来てしまったと思われるFFのセダンがスタックして立ち往生していたが、それはそうだろう。脱出を助けてあげたかったが、既にたくさんの人が必死に押していたので、そこは任せて我々は先へ進む。しかし、親父、とにかく飛ばす。砂漠の道無き道をひたすら進む事30分。激しい凹凸を乗り越え、砂漠へ入って20km以上は進んだと思うが、砂漠だけにとにかく砂しか無い。

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とにかく砂しか無い

白、オレンジ、赤、砂の色が三色、場所によって変化して行く。とにかく、その砂のうねりと風紋が美しい。風が吹くたびにその風紋を這うように砂が流れ、非常に幻想的な景色なのだ。ひたすら砂が広がる荒野を進み、ついにキャンプ地に到着する。そこのテントが今夜の宿だ。

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これがこの日の宿だ

午後3時に到着したが、砂漠の中でとにかくする事が無い。夕日が見られるのが5時過ぎなので、それまで2時間、仕方なく昼寝する。が、砂漠の容赦なく照りつける太陽に、やたら暑くてそれもままならない。それでもひたすらボーッとする。何かしようにも何も出来ないのだから仕方ない。しかし、ある意味非常に贅沢な時間、だったのかも知れない。

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これが食堂

ただ一点、面白かったのが、スカラベに出会った事。ファーブル昆虫記でおなじみの所謂フンコロガシって奴だが、そこら中に転がるラクダの糞を必死に逆立ちして転がすその姿は可愛くもあり滑稽でもあり、そして感動的ですらある。なんとも愛らしい昆虫である。自分の体の数倍もある糞をただひたすら転がす。その距離の長いこと長いこと。それを追いかけてるだけでも十分楽しい時間を過ごす事が出来た。ふと気づいて周りを見渡すと、縄状の細い轍のような模様がそこら中の砂の上に広がっている。全て糞を転がした軌跡なのだ。なかなか凄い奴らだ。

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ラクダがたたずむ

午後5時、日の入りの頃。ランクルで砂漠の丘を登る。ひたすら上る。かなりの砂の急斜面も難なく登って行く。大したものだね。そして砂の丘の上、どこまでも続く砂。そこへ沈む太陽。吹き付ける風に刻々と変化して行く風紋。まるで生き物のよう。来て良かった。

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カッコいいぞおっさん
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砂の海に沈む太陽

そうこうするうちに辺りは暗くなる。暗くなるに従ってどんどんと気温が下がって行く。風が強く、かなり肌寒い。水道はきちんと来ているものの(砂漠のど真ん中で、非常に不思議だったのだが。)電気はいっさい無く、明かりはオイルランプのみの夜がやってくる。空を見上げると、星の海。これだけの星空を見るのはいつ以来だろう。やたらと長い流れ星をみる。

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ランプの明かりで食事

やはり来て良かったと思うのでした。
by kuronekonokujira | 2011-04-13 05:29 | オマーンの旅