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黛 潤一郎 CGのお仕事でサウジアラビアのリヤドに滞在中です。どうでもいい様な他愛も無い事を日々書き連ねているブログですが、どうぞ宜しくです。


by KuronekonoKujira

番外編:オマーンの旅 その3

3日目。この日は朝7時半集合で海へ。

ちなみにホテルの朝食は一般的ないわゆるコンチネンタルなスタイルのビュッフェなのだが、アラビヤ風味の料理も並んでいるし、きちんと目の前で焼いてくれるワッフルとオムレツがとても美味い。外観は病院や市役所の様で今ひとつなアル・ファラジホテルだが、日本食レストランも入っている事だし、設備の割にはリーズナブル(1部屋1泊1万円程度、ツインに泊まったので一人5千円で済んだ。)なのでマスカットに滞在する際にはお勧めだ。もっとも金銭的に余裕があるのであれば、翌日の午後をレストランで過ごしたチェディ・マスカットホテルがなんといってもお勧めなのだが。(ただし1泊7〜8万円はかかる模様。すいません。これ、ツインで2泊の値段でした。二人で泊まれば一泊1.5〜2万円で泊まれます。意外にも手が届くお値段です。)

この日の朝から昼は海で過ごそうと、オマーン・ダイブセンターというスキューバダイビング屋へ行くのだが、スキューバだけではなく、そこは入り江のプライベートビーチにあり、非常に美しいビーチなのだという。ただ、過去にあった、ちょっとしたアクシデントで酷い目に遭い、すっかりスキューバダイビングはトラウマになっている私。一度克服すべく再チャレンジしたときも心の奥深く刻まれた恐怖に打ち勝てず途中で断念。情けない事にスキューバダイビングのトラウマはいまだ克服できずにいる。と言う事で、私はその入り江で一日スノーケリングして過ごす事にした。

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遠浅の入り江のビーチ 天国!

このダイビングセンター、訪れているのは自分たちを除いて、ほぼ100%欧米人だ。多分殆どがヨーロッパからの観光客だろう。ショップの店員も殆どが白人。ただ、貼られていた船長やスタッフの写真の内数枚はアブドラさんやモハメドさんがいたのでアラブ人もいる模様。こうやってオマーン人も含めた様々な人種が一緒に働いているのがこのオマーンのいいところ。サウジとは大分違う。ただ、白人のおっさんスタッフの対応はちょっと嫌な感じだった。まあ差別的な感じというよりは、その人のパーソナリティの問題だと感じたのでまあ気にしない事にする。(そう信じたい。)

船で絶好のダイビングスポットとスノーケリングのポイントへ向かう同行の女性とその他の欧米人たちを見送り、自分はスノーケルのセットを借りてビーチから海へ入る。この入り江のビーチ、恐ろしく遠浅でどこまでいっても膝より上に水がこない。これではスノーケリングどころではない。水に入って100メートルもすると漸く腰くらいまで水につかる事ができた。朝の光のせいか、水はやや緑がかって見えるが透明度は高く非常に奇麗だ。

すると、目の前に30センチくらいの黒い円形の影が通過する。すぐにピンと来た。海亀だ!スイスイとひれを羽ばたかせるように動かして泳いで行く。小さいとはいえ、こんな浅瀬に海亀がやってくるなんて!海で初めて目にした野生の海亀に感動。やっぱりオマーンまでやって来た甲斐があったというものだ。

時間も経ち、次第に潮が満ちてくる。昼前には入り江の中の水深も比較的深くなり、スノーケリングを楽しめる程度にはなった。1時過ぎにとったランチまで、ひたすら海の中を眺めてまわる。ビーチなので、見えるものといえば殆どが白い砂ばかりなのだが、それでも魚の群れやピンクの小さなエビ、砂に出入りしている謎の生物など、見ていて飽きる事がない。岩陰やボートの下には結構変わった形の南国の魚もいた。くたびれるとビーチに上がって写真をとったりゴロゴロしたり。それに飽きるとまた水に入る。それを3回程繰り返すと(後で気づいたのだが、背中と足の裏側が真っ黒に焼けていた。ヒリヒリが治まり、今は背中が痒くて仕方が無いのだ……)お腹も減ってくる。という事でランチを取る。赤のグラスワインとキャメルバーガーを注文。ラクダさんを食べてしまうのは忍びないが、なかなか食べられるものではないので、ドバイに続き再チャレンジ。猫や犬の肉なんてのは絶対に無理だが、なぜかラクダならそれほどの罪悪感も感じずに食べる事が出来る。ラクダ、実物はとても愛らしいと感じるのだが、不思議なものだ。

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ジャメルバーガー

ラクダの肉は、やはり以前ドバイで食べたのと同じで、コンビーフの様だ。繊維質な肉、という事なのだろうか。食感はパサパサしているが癖はなく、マトンなんかに比べてもずっと食べやすい。ごめんよ、ジャメルさん。(ラクダはアラビヤ語でジャメル。英語のキャメルはこれが語源らしいです。)

のんびりとランチを楽しんでいると、スキューバのポイントに向かった船が帰ってきた。十分海も堪能したのでこの辺りでスーク(市場)へでも行こうという事に。マトラスークという昔ながらのアラブスタイルの市場で、カブース港を望む海沿いにある比較的小さなスークだ。マトラフォートという小高い丘の上に立つ複数の砦がスークを見下ろしているのが印象的。海沿いの道が非常に奇麗で、停泊する船を眺めているだけでも楽しいところだ。

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マトラフォートが見下ろす

スークそのものはリヤドの古いスークとドバイのスークのちょうど中間くらいの感じ。素朴さはリヤド的だし、観光客目当ての土産屋風の店が多いのはドバイ風といったところ。残念ながら中東に住んでいる自分に取って面白さを感じられる店はなかった。ただ、日本から初めて中東に来た人であれば十分楽しめるでしょう。

一点気になったものといえば、日本の昔のコインがどのシルバーのアクセサリー店でも売られていた事か。大日本・明治○×年 壱円とかかれたその直径4センチほどの巨大なコイン。明治時代の銀貨か。なぜそんなものがどの店でも売られているのだろうか?一つ500円程だったが、状態が良くないのとなんか怪しいので買わなかったが、帰って調べてみると美品なら最低3千円にはなる様だ。少なくとも元は取れたか?しまった。

さらに直径8センチはある巨大な壱拾萬円と書いてある巨大な銀貨を発見。しかし裏側には「ten thousand yen」と書いてある。一万なのか十万なのかよくわからない。しかも明治。怪しさ満点である。この他にも中国やヨーロッパの古いコインがたくさんあった。銀貨とシルバー屋というあたりに鍵がありそうだが、なぜオマーンのシルバー屋で世界のアンティークコインがたくさん、しかも無造作に売られているのか不思議である。この辺、もし詳しい方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。

歩き回ってくたびれたので、ジューススタンドでジュースを頼もうとすると、店の兄さん、なんだか店先に並んでいるジュースの他にフレッシュなマンゴージュースを作ってあげるからぜひ飲んで行けと言う。まあ、そう言うならと一緒に並んでいた揚げパンと一緒に頼んでみる。すると兄さん、椅子(なんと小学校なんかのあれだった!)を用意してくれ「座って待っていてください」と告げると、店の奥へ入って行ってしまい、しばらく出てこない。少々時間がかかったが、兄さんが嬉しそうにジュースと揚げパンを持って現れる。確かに絞り立てのマンゴージュースで美味い。揚げパンも美味い。店頭にないものを出されたので、少々不安もあったが、兄さんは明らかに親切心から出してくれたようなので良しとしよう。まあ、腹を壊すという事もないでしょう。実際、この中東でお腹を壊すような事は今までなかったですしね。(ただし、エジプトの水はお腹を壊す人が多いという事です。僕は大丈夫でしたが。)

スークで売られているものにはそれほど興味を感じなかったので、更にマトラスークの外れまで歩いて探検。なぜかやたらとたくさん床屋が並んでいて、入って髪を切って行けと、やたらと勧誘される。いやいや、それ結構ですって。しかし、同行の女性スタッフが床屋に興味を持ち、写真に収めたくて仕方ない模様。彼女が写真を撮ってもいいかと訪ねると、床屋の親父は嬉しそうに店の中に入って好きなだけ撮っていいぞと言ってくれる。写真撮影には厳しいイスラム世界だが、女性へカメラを向ける事と重要な施設などが移り込む事さえ気をつければ、ここオマーンは比較的緩いようだ。また、女性であってもスークのサリー風の民族衣装を着たおばさんに写真を撮っていいかと、例の彼女が訊くと、ちょっとこわばった表情を見せはしたものの一応OKしてくれた事から、人によっては大丈夫なようだ。もちろん、「あたしは駄目!」といって後ろを向いてしまったおばさんもいたので、きちんと許可を取って撮るべきなのは言うまでもありませんが。

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夜の海を眺めてボーッとしているとどんどん時間が過ぎて行く

そうこうしていると、すっかり周りは暗くなり、晩ご飯の時間に。すると、同行の男性が知らないオマーン人に拙い日本語で声をかけられる。自分は日本へも行った事のある日本語を勉強中のジャーナリストなのだと言う。話をしたいので食事でも一緒にどうかと誘われたが、この日もホテルへ戻り和食を食べる気満々だった我々は、インド料理と訊いて断ってしまった。もちろん、日本食はどうですか?と誘ってみたが、彼の方もそう言う気分ではなかったらしい。悪い人ではなさそうだったし、ちょっと面白そうではあったが、和食が俺を呼んでいる。仕方ないのだ。

この日ラストの夕食は、冷やし中華と納豆巻き、みそ汁と茶碗蒸しを食す。やはり食べ過ぎ、腹がはち切れそうに。だめ、やっぱり、死ぬ。でも、とてもおいしゅうございました。

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久しぶりに食べる冷やし中華はとても美味かった

こうして3日目の夜も更けていくのでした。
by kuronekonokujira | 2011-04-15 09:14 | オマーンの旅